茶の産地
朝宮茶
滋賀県甲賀郡信楽町
朝宮は、京都府宇治と近江との県境に位置し、標高が400mほどの高地で、昼夜の気温差が激しく、霧が多い気候風土であることから、世界でも最上の茶産地として有名です。
収穫は丹念に摘みとられ、伝統的な製法で丁寧に作られています。香りや風味に特長があり、茶葉自身から立ち上る独特の香気は、まさに緑茶の最高峰と呼ぶにふさわしい逸品。
他産地のお茶に比べ、かなり「大柄(太め)で黒いが艶のある茶葉」「淹れた時の水色は、青くはなく黄金色」「味は、最初は少し渋みを感じやがて甘味を感じるすがすがしい後口」といった素朴でどこかなつかしい味わいです。
足久保茶
静岡市足久保奥組
静岡市北郊の足久保川流域は、昼夜の大きな温度差とわきたつ霧が直射日光を遮り天然の覆いとなる、まさに良質なお茶の栽培に理想的な条件を備えた環境にあります。
この恵まれた自然環境の中で、代々受け継がれながら丹精込めて育まれた新芽が、味も香りも秀逸な足久保茶の逸品に仕上がります。
江戸時代、徳川将軍家御用達のお茶であった時期があり、五歳で久能寺に入り、やがて東大寺に移って渡栄(中国)した聖一国師が、中国から持ち帰った茶の実を足久保渓谷に播種したと伝えられています。
八女茶・星野玉露
福岡県浮羽郡浮羽町
福岡県八女郡星野村
玉露・煎茶ともに味が濃厚で、甘味が強く、苦渋味が少ないことで知られています。
特に、全国生産量の半分以上を占める玉露は山間地で、上質煎茶は平坦地を中心に生産が行われています。
朝比奈玉露
静岡県志太郡岡部町宮島
静岡県のほぼ中央に位置する岡部町は、三方を山に囲まれ、南に開けている地形から、夏は比較的しのぎやすく、冬は温暖なうえ日照時間・降雨量に恵まれています。
北端より南部に流れる朝比奈川の清流に沿って開ける平坦地区と山麓に、茶産地を形成しています。
とりわけ、北部の朝比奈地区は、朝比奈川に沿った山間傾斜地に茶園が開かれ、特に玉露茶の最適地として、福岡の「八女」、京都の「宇治」と並び全国的に「朝比奈玉露」の名が知られています。
宇治茶
宇治市(綾部市・京田辺市・城陽市)
高級茶の産地として名声高い「宇治茶」は、京都府の宇治近郊、和束町や山城一帯が代表的な高級茶の産地として有名です。
煎茶を中心に生産されていますが、玉露やてん茶(抹茶の原料)、抹茶など国内における高品位なお茶の産地とされています。
伊勢茶
三重県多気郡大台町
1千年の歴史を持つお茶の名産地です。
静岡、鹿児島に次いで全国第3位のお茶生産量を誇る三重県の茶産地です。伊勢茶は煎茶、深蒸し茶、かぶせ茶などが主に生産されています。
特に、「テアニン成分」を含むほのかな甘みが特徴のかぶせ茶は、全国2位・シェア30%以上の生産量を誇ります。
嬉野茶
佐賀県藤津郡嬉野町
佐賀県嬉野市一帯の茶産地です。室町時代ごろから生産が始まったとされています。
釜煎りにより加熱し、発酵を停止させる「釜煎り茶」として知られていますが、他の日本茶と同様に蒸すことで加熱するものが主流です。中国の緑茶に似ていて、茶葉は丸く、香りも強い、特徴的な茶ともいえます。
日本茶の中では珍しい独特の丸みを帯びた茶の形状から、玉緑茶(グリ茶)と呼ばれます。一枚一枚が丸く、緑色の艶が深く、香りや旨みが強いという特徴を持ち、急須の中でゆっくりと開きながら旨みを抽出していくため、そそぐたびに味や香り、旨味の移り変わりを楽しめます。